検証前に作られたハラスメント防止規程
震災支援ネットワーク埼玉ホームページに、9月1日付で「ハラスメント防止規程」を制定したと掲載されています。私はまったく関知しないものです。その中には、次のような文言がありました。
「すべてのスタッフは、ほかのスタッフを業務遂行上の対等なパートナーとして認め、活動における健全な秩序ならびに協力関係を保持する義務を負う」
震災支援ネットワーク埼玉(SSN)ハラスメント防止規程 第2章第三条より
まず、個人より力のある組織が、ここに権力関係はない、対等な関係だと認めなさいと個人に求めること自体が威圧的な行為ではないかと思いますし、そこに存在する権力構造をないものとして、被害に遭った人が声を上げるのを抑圧する恐れがあるのではないかと危惧します。
「活動における健全な秩序」や「協力関係」が具体的に何を指しているのか分かりませんが、本来ハラスメント防止の義務を負うのは力を持つ側、組織や強い立場にある人間ではないでしょうか。それを「すべてのスタッフは対等」とすることで、責任の所在が曖昧にされているのではないかと思います。
あらゆるハラスメントは権力構造の中で発生します。私の件も、事務局長(当時)とそれに雇われた者という権力勾配がありました。この条文は、ハラスメントの前提を根本から否定するものではないかと、不安な思いになりました。そして、いったいこれは誰のために作られたものなのだろうかと疑問に思います。前提が疑問に感じるものなので、ほかの内容もしっくりとせず、また、被害者として不安に感じるものも多かったです。
すべてのスタッフは対等と押し付けるのではなく、自らの権威や優位性を認識するところから、ハラスメントの防止は始まるのではないかと私は思います。
この規程がどのようなプロセスを経て作られたものか、詳細は分かりません。しかし、第三者による検証を行うことなく、被害当事者に話を聞くこともなく作られたのは事実です。形だけ作られた規程という印象はぬぐえません。私は実効的な再発防止、形式的ではない再発防止をずっと団体側に求めてきました。このハラスメント防止規程を見つけた時は、とても悲しかったです。これが実際に再発防止になり得るのか、不安に感じます。
検証を行わず、自らの問題を明らかにしないうちに、加害者側である震災支援ネットワーク埼玉がハラスメント防止規程を作成すること自体に問題があるのではないかと思います。検証に向けての合意事項では、検証は再発防止を目的とするもの、検証後に再発防止策を作成するという記載があり、団体もこれを了承しています。つまり、団体は異なる二つの防止策を作るということであり、いったいこれをどのように受け止めればいいのか、困惑しています。
一部加筆修正しました。(10/10)
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